同軸2ウェイスピーカーユニット搭載のアクティブスピーカーGX-77M
2003年12月14日

オンキョーが2003年12月13日に発売したPC用アクティブスピーカー"GX-77M"は、2ちゃんねるでも発売前から期待されてきたスピーカーです。
2ちゃんねるのAV板やハードウェア板では、定番のPC用アクティブスピーカーとしてMA-10D, GX-D90, M85-D,SRS-Z1等が話題になりますが、
これらのスピーカーは一万円〜一万五千円程度のものですのでどうしても音に一長一短があります。
つまり、決定版と言える物はなく、2ちゃんねらーもこれらのスピーカーにやや飽きて来た感がありました。

このような状況下でオンキョーから実売価格二万円のPC用アクティブスピーカーが発売されるとのことで従来のスピーカーに飽きていた2ちゃんねらーも注目することになりました。
従来のものより高価なため、いまいち感のあった従来のPC用アクティブスピーカーを打破するのではないかとの期待もあったことでしょう。
同軸2wayスピーカーという新機軸の構造も期待される一因でした。

(2003年12月21日 他機種との比較レビューを掲載しました。ここをクリック)

写真によるGX-77Mの紹介


GX-77Mの箱です。
緑色なのは意外でした。


こんな感じでスピーカーが入っています。


GX-77Mと付属品の全てです。


GX-77Mの前面です。
本体の左右に入っている縦長のスリットがバスレフです。


GX-77Mの背面です。入力が二系統あります。
GX-D90と同様にサブウーファー出力があります。


GX-77Mの底面にはスピーカースタンドに固定するためのネジ穴が開いています。


サランネットをはずすと、同軸2wayスピーカーユニットが現れます。


同軸2wayスピーカーユニットのアップです。
このようにツイーターとウーハーが同軸線上に重なって配置されています。

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GX-77Mを他機種と比較試聴する(2003年12月20日)

みなさんお待たせしました。ようやく比較試聴ができました。
今回、比較試聴に使用した機種は、以下の4機種です。
いずれの機種も2ちゃんねるで定番とされているスピーカーです。

GX-77MとMA-10Dはそれぞれ約20時間程度のエージングを行っています。
M85-DとGX-D90は購入してから時間が経っており、エージングの必要はないと判断しています。


これが試聴環境です。
スタンドはハヤミ工産NS-431を使用しています。
5000円程度で売られている安物ですが、PC用アクティブスピーカーを置くには十分でしょう(コンパクトで便利です)。
写真のスタンドに置いている機種がGX-77M。
スタンドの間に置いているスピーカーは左からGX-D90、M85-D、MA-10DBKです。

評価はCDプレーヤーSA-17S1で行います。
試聴の方法は、以下のようにしました。
  1. 試聴する音楽を決める
  2. GX-77M、MA-10DBK、M85-D、GX-D90の順に聴く
  3. PCでレポートを書く
接続方法は全てアナログ接続です。
BASSとTREBLEの設定はニュートラルにします。
左右のスピーカーの間隔(左スピーカーの中心から右スピーカーの中心の距離)は約90cm。筆者は80cm〜90cm程度離れて試聴しました。

(注)音の感じ方は人によって異なります。このレビューは参考程度とし、最終的には自分の耳で聴くことをお勧めします。

Beethoven Symphony No.9 <Choral>
TRACK1(16分)
指揮:小澤征爾
発売元:ビクターエンターテインメント株式会社
ジャンル:大規模クラッシック

GX-77M
音場はあまり広くない。
その反面、楽器の音像定位は評価4機種の中で最も把握しやすい。
同軸2ウェイ構造のおかげであろうか。
高音の伸びは悪くはないが、もう少し伸びが欲しい。
低音はそれほど多くはないが、音楽を聴く分には十分である。
比較4機種の中では最も下に伸びる低音でもある。

MA-10D
音場はGX-77Mよりは広いものの楽器の音像定位は混ざった感じがすることが多い。
このスピーカーのバランスは高音を強調しているので、弦楽器と吹奏楽器の音が聴きやすい。
低音は下へ伸びないが、低音の輪郭はGX-77Mよりも明確で打楽器の音に迫力がある。
しかし、低音が前に出過ぎている感じもしなくもない。

M85-D
音場はMA-10Dよりも広い。
楽器の音像はMA-10Dよりもさらに混ざったように感じた。
高音に雑味を感じるときがあった。
低音はやはり下へ伸びず、この曲では控えめに低音が鳴っているように感じた。
ドンシャリ感が強いこの機種では意外な結果であった。
低音打楽器の音は輪郭も不鮮明で音量も物足りなく迫力を感じない。

GX-D90
小型なので音場は狭いが、意外なことにMA-10DやM85-Dより音像定位は良い。
これは小型スピーカーなので、より大型なMA-10DやM85-Dよりも点音源に近いからであろうか。
今回の視聴のように近距離で聴く場合は小型の方が音像定位の面で有利である。
しかしながら、高音は伸びず、ボンボンと鳴る低音は他の音をマスクしてしまう。
解像度も比較4機種の中で最も低い。

Simba
TRACK1「ニューシネマパラダイス」(5分1秒)
演奏:高島ちさ子
発売元:日本コロムビア株式会社
ジャンル:小規模クラッシック

GX-77M
この曲は中央にピアノ、左にヴァイオリン、右にチェロがそれぞれ定位する。
中央のピアノの定位は良く、鍵盤の上を水平に移動する指の動きが伝わってくるかのよう。
ヴァイオリンの音色も輪郭がシャープで高音もそこそこ伸びるこの機種では魅力的に聴こえる。

MA-10D
高音が強調された音のため、ヴァイオリンの音が鮮明で華やか。
やや脚色された感もあるが、高音の伸びたクリアな感じのする音。
ピアノの音像定位はGX-77Mよりも不鮮明。

M85-D
中高音が強調されているためかヴァイオリンの音は一見鮮明に感じるが、
ヴァイオリンの音の細かい部分が潰れているように感じた。
ピアノの音像定位はMA-10Dよりもさらにボケ気味。
音の厚みはあるが、雑な感じがする音である。

GX-D90
この曲では低音がほとんどないため、この機種のボンボンとした低音は欠点にならない。
高音が篭っているせいかヴァイオリンの音の余韻がうまく聴こえない。
ピアノの音像定位はM85-Dと同程度であまり鮮明とは言い難い。

A NEW DAY HAS COME(SuperAudioCD版) 
TRACK1 "I'M ALIVE"(3分30秒)
歌:CELINE DION
発売元:Epic Records Int'l
ジャンル:女性POPS(英語)

GX-77M
ボーカルの音像はややボケ気味だが、音の細かいところが聴こえない訳ではない。
特殊な形状のバスレフの影響であろうか低音はやや切れが甘い。
音場が狭いのであまり乗りが良くないのも気になった。
背景音楽も狭い場所で鳴っているように感じる。
音はあまり脚色されていないせいかこのような曲ではややつまらなく感じたが素直な音とも言える。

MA-10D
ボーカルの音像定位はGX-77Mよりも鮮明。
女性ボーカルの場合、やや不自然ではあるものの高音を強調したこの機種の方が合うのかもしれない。
音場がGX-77Mよりも広いため、背景音楽の広がりも良い。
高音よりのバランスのせいか音はやや脚色されたように感じた。

M85-D
ボーカルの音像定位はGX-77Mよりも鮮明で厚みのある中音のおかげかボーカルの存在感が強い。
音場はMA-10Dよりもさらに広く、背景音楽に包まれているかのよう。
キックも腹に響くような低音が出るにもかかわらず、ボーカルを妨害することなく鳴っている。
雑な音ではあるものの乗りが良い元気な音である。

GX-D90
ボーカルは一見センターにしっかりと定位しているように聴こえるが、
解像度が低いせいかボーカルの息づかいがうまく聴こえない。
低音はM85-Dと同様によく出るが、ボンボンとした低音のため音全体をマスクしてしまう傾向にある。
音場はGX-77Mよりも広く感じた。

月天心
TRACK2「もらい泣き」(4分40秒)
歌:一青窈
発売元:コロンビアミュージックエンタテインメント株式会社
ジャンル:女性POPS(日本語)

GX-77M
ボーカルの音像はややボケ気味。
高音の伸びはもう少し欲しいが、高音がかすれることはない。
スピーカーの指向性が強いためか音場はやはり狭いと感じるが、
この曲の場合はボーカルが主役のためあまり気にならない。

MA-10D
「さ行」が明らかにかすれる。
「ち」「つ」でもかすれているようだ。
日本女性(正確には台湾女性?)のボーカルは、白人女性よりも遥かに甲高い声がするので、高音のかすれが明らかになったようだ。
背景音楽も高音よりの音が多く、この機種のバランスのせいでさらに高音よりになるため、聴いた後は耳がキンキンする。
切れの良い力強い低音は、高音よりのこの曲ではやや浮いたように感じる。

M85-D
MA-10Dと同様に「さ行」「ち」「つ」がかすれる。
しかし、全体のバランスは高音よりではないため曲としてはそれほど耳障りではない。
キックはやはり得意で下まで下がる低音ではないものの十分な音量であるにもかかわらず他の音を排除することもない。
比較4機種の中で最も音場が最も広く、POPSは得意なようだ。

GX-D90
低音が強調されすぎてて曲全体をマスクしてしまっている。
しかもボンボンと鳴る不快な低音である。
そのせいかボーカルが遠くで鳴っているように聴こえるし、そもそも高音がボケ気味の機種なのでボーカルの解像度が低い。
意外なことに「さ行」のかすれがほとんどないのは、やはり価格がMA-10DやM85-Dよりも高いからであろうか。

Nine Lives
TRACK1 "Nine Lives"(4分1秒)
歌・演奏:Aerosmith
発売元:SONY MUSIC
ジャンル:ROCK(英語)

GX-77M
ボーカルの音像はこの曲でもややボケ気味。
高音系の楽器が多いので、高音がいまいち伸びないこの機種の高音には不満がある。
音場は広くないが、ボーカルと楽器の定位は比較的安定している。

MA-10D
高音の華やかなこの機種にこの曲はなかなか似合っているせいか派手な音になる。
リズム打楽器の音もGX-77Mより鮮明に聴こえる。
その反面、音場の中の各楽器の定位は少し不安定で音像はやや混ざり気味。
高音よりのバランスなので激しいこの曲を聴いていると聴き疲れし易い。

M85-D
ボーカルの音像は最も明瞭に感じた。
その反面、楽器の音が拡散気味で楽器の音像定位は把握しにくい。
しかしながら、音場は最も広いため乗りが良い音でもある。

GX-D90
音像定位は比較的安定しているが、ボンボンとなる低音がまたもやボーカルの邪魔をしている。
ボーカルは解像度不足であまり魅力的に聴こえない。
全体的におとなしく聴こえる。

the soft tones of ACID JAZZ
TRACK4:"Everythings is going to the beat"(5分17秒)
演奏:ACE OF CLUBS
発売元:SCOTTI BROS. RECORDS
ジャンル:JAZZ(英語)

GX-77M
ボーカルの音像は今までと同様にボケ気味で各楽器の定位は安定している。
背景と楽器のコントラストの強い曲だが、GX-77Mは高音の伸びがいまいちで楽器が浮かび上がってこない。
地味で平板に聴こえる。

MA-10D
高音が強調されているおかげで暗い背景に楽器が浮かび上がるように聴こえる。
しかし、切れの良い低音が前に出すぎており、邪魔な感じがする。

M85-D
ドンシャリ傾向のおかげでシャリ付き気味ではあるものの高音の楽器が前に出る。
そして、低音は十分に鳴りながらもメインの楽器やボーカルをマスクすることはない。
綺麗な音とは言えず、やや雑な音ではあるが、この曲に関してはM85-Dで聴くのが最も適しているように感じた。

GX-D90
全体的に解像度不足。
ボンボンとなる低音はセンターに定位する楽器とボーカルを妨害する。
左右に定位するリズム打楽器も高音の伸びの不足と解像度不足で綺麗に聴こえない。

比較試聴総評

今回、試聴した4機種の中で特に良いと言える物はありませんでした。
しかしながら、総合的に音が最も良い機種を選ぶとすれば、最も価格の高いGX-77Mになるでしょう。
GX-77Mはいくつかの欠点はありますが、どの曲を聴いてもそれなりに再生できます。
特に再生して不快な音になる曲はありませんでした。
ここでGX-77Mの欠点を列挙してみます。
  1. 高音の伸びがもう一歩不足している
  2. 低音の音量と解像度がいまいち
  3. 定位は悪くないが、音像がボケ気味
欠点の3は1が原因と推測されます。
高音は波長が短いため空間情報を多く含んでいます。
ですから、高音が弱いとどうしても音像が不鮮明になります。
その反面、定位が比較的良いのは同軸2ウェイ構造による位相の再現性の高さによるものかもしれません。
あるいは音の指向性が比較4機種の中では高い部類に入るためかもしれません。

欠点の2は変わったバスレフの構造にあるかもしれません。
本体の左右に開いている縦長のスリットがバスレフです。
本体の大きさが小さいためかバスレフの構造は苦労しているようです。
このスリットの構造では低音が拡散してしまうのも当然でしょう。
サイズの制約があるため低音はあまり得意ではないようです。

このように欠点はいくつかあるとは言え、強いくせも特にないためGX-77Mが最も良いと言えるでしょう。
比較4機種の中では解像度が最も高く思えるのですが、高音の出方でかなり損をしているのが惜しいと思えます。

GX-77Mの次に良い音と言えるのは、Roland MA-10Dでしょう。
曲によってはM85-Dが上回ることもありますが、どちらかと言えばMA-10Dに軍配が上がります。
高音よりのバランスかつクリアな感じがする音です。
実際には高音のかすれ現象が確認されており、高音が特別美しいとは言えないのですが、音像定位が比較的良いため
総合的にクリアに聴こえるようです。
欠点は低音が前に出過ぎるときがあることと音源によっては高音が耳障りなほどキンキンとすることです。

M85-Dは指向性がやや低いため音場は最も広いのですが、音像定位がいまいち不鮮明です(ボーカルに限ればきちんと定位することもある)。
さらにドンシャリ傾向のためか全体的に雑味のある音です。
この機種の特筆するべきところは、低音の出方でしょう。
腹に響くような強い低音が出ても中音・高音があまりマスクされないのです。
再生する曲がこの低音と広い音場に合えば、かなり良く聴こえます。
ただし、相性が悪い曲でも広い音場とドンシャリ音によって雑味があってもそれなりに楽しく聴けるとも言えます。
最も安い機種ですので、作りはやや雑でボリュームのギャングエラーが酷くて音を絞れないのは用途によっては問題です。

GX-D90は比較機種の中では最も音質の良くない機種と言えます。
2ちゃんねるでも悪評ですが、改めて音質の悪さを確認できました。
特に問題なのはボンボンとした不自然な低音です。
低音の音量は多いのですが、この低音によって中音・高音がマスクされてしまい音楽が楽しめません。
高音も籠り気味で華やかさに欠けます。
最大の問題は
比較4機種の中で二番目に高価な機種だと言うことです。
最も小型なのも間違いありませんが、それ以外にメリットはないでしょう。

GX-77Mは買いか?

正直言って、コストパフォーマンスは良くないと思われます。
音質的に考えると、実売価格16000円〜17000円程度が妥当かと思われます。
今(2003年12月20日現在)の実売価格約2万円は割高です。

2ちゃんねるではRoland MA-20D(実売価格23000円程度)と比較されることが多いようですが、
2ちゃんねらーによると音質ではMA-20Dに軍配が上がるそうです。
しかしながら、MA-20DはGX-77Mよりもかなり巨大で二電源必要とやや使い勝手に問題があります。
おそらく、プロのサウンドクリエーターが使用する小型パワードモニターを意識したものかもしれません。

このようにMA-20DとGX-77Mはユーザーの環境に応じて住み分けができそうですが、
やはりGX-77Mが割高なのは間違いないと思います。
M85-DやMA-10Dからの乗り換えを考えている人も2万円を出す価値があるかどうかは微妙だと思います。
GX-D90から乗り換える場合には、かなり満足できるかと思われます。

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