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HDA-5210K試聴レポート
2005.3.21初掲載
2005.4.3更新

HDA-5210Kの試聴をしました。比較機種はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプです。


写真上がHDA-5210K、写真下がCDプレーヤーSA-17S1。


SA-17S1内蔵ヘッドホンアンプ。
その性能は10万円クラスのヘッドホンアンプに匹敵すると言う人もいます。

試聴 方法
  1. SA-17S1にHDA-5210Kを接続する
  2. 試聴するCDをSA-17S1にセットする
  3. SA-17S1内蔵ヘッドホンアンプで試聴する
  4. HDA-5210Kの電圧出力で試聴する
  5. HDA-5210Kの電流出力で試聴する
  6. 2〜5を繰り返す
  7. 試聴する曲を全て聴いたらレビューをまとめる
※この比較方法はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプに有利です。
 内部で接続されたSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプの方が外部に接続されたHDA-5210Kよりも有利です。
 さらにCDPとしてSA-17S1を使っている以上、HDA-5210KはSA-17S1の出す音声信号の音質を越えることはできないのです。

試聴 に使ったCD

今回使用したCDは3枚で、それぞれのCDの各1トラックを使いました。

A NEW DAY HAS COME(SuperAudioCD版) 
TRACK5 "A NEW DAY HAS COME"(4分19秒)
歌:CELINE DION
発売元:Epic Records Int'l
ジャンル:女性POPS(英語)

ONE BY ONE(MJテクニカルディスク第二集)
TRACK1 "ONE BY ONE"(6分27秒)
演奏:水橋孝、田中裕士、小山太郎
発売元:誠文堂新光社
ジャンル:ジャズ

Beethoven Symphony No.9 <Choral>
TRACK4(6分34秒)
指揮:小澤征爾
発売元:ビクターエンターテインメント株式会社
ジャンル:大規模クラッシック

電流 出力とは?

ヘッドホンはボイスコイルに電流を流すことによって、磁力を発生させて振動板を駆動します。
つまりは、ボイスコイルに流れる電流に応じて振動板が動くことになります。

一般的なヘッドホンアンプの出力は電圧出力 です。
電圧出力の場合、ボイスコイルに電圧をかけることによってボイスコイルに電流を発生させて振動板を駆動 します。
つまりは、電圧をかけた後に電流がどのように流れるかどうかはヘッドホンに任せてしまいます。
このため、音声信号に対して電流が遅れて反応するような感じになります。

一方、電流出力は音声信号に比例した電流を強制的に
ボ イスコイルへ流して振動板を駆動します。
そのため、どのようなヘッドホンを使ってもヘッドホンアンプがx[mA]流そうとすればx[mA]が流れます。
電流出力には以下のような長所と短所があります。

長所:音声信号に比例して忠実に電流を流すことができる。つまり、振動板の立ち上がりが速くなる。
短所:インピーダンス特性が平坦ではないヘッドホンを使うと音声バランスが崩れる。

注意するべきは、電流出力は電流を強制的に流すのでヘッドホンに過大入力を入れるとボイスコイルを焼き切る可能性が高いということです。
耐圧の弱いヘッドホンを接続するとヘッドホンを壊してしまう可能性が高くなります。
しかし、耐圧が高いヘッドホンでも注意が必要です。
私の作ったHDA-5210Kはヘッドホンが32Ωのとき、最大約5000mWの出力を出せます。
このような大出力に耐えられるヘッドホンを私は知りません。
ですから、どのようなヘッドホンを接続したときも過大出力にならないようにする必要があります。
とは言っても余程音量を上げない限りは問題ないのですが。

ヘッ ドホン機種別レビュー

ヘッドホンの機種別にSA-17S1とHDA-5210Kの音の違いをレビューします。
内容が似たレビューも多いのですが、アンプの違いによる変化ですので、どうしても似たような変化になることがあります。
(メーカー名と型番でABC順に紹介)

AIWA(SONY) HP-X122
電圧出力で聴いてもSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも音がわずかに鮮明になるような気がする程度。
電流出力を使っても音はあまり変わりませんでした。
安物のせいかSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも高価なヘッドホンアンプを使用しても音質向上効果はそれほどないのかもしれません。

AKG k271studio
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも音の情報量が少し増えます。
電流出力にすると力強い音になります。それと同時に情報量もさらに少し増えます。
電流出力使用時でも音声バランスは崩れないようです。
電流出力との相性は良いと思います。

ALESSANDRO MUSIC SERIES ONE
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも音圧の強い音に感じました。
情報量も多少は向上します。
電流出力を使うと少しだけ音質が向上したように感じましたが、電圧出力と大差ないと思われます。

audio-technica ATH-A100Ti
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも音の情報量が少し増えます。
電流出力にすると情報量がさらに少しだけ増えます。
電圧出力と電流出力共に情報量が増える分、音像が拡大します。
そのため、楽器が接近したように感じますが、元々音場の狭いヘッドホンなので音の迫力が増えたような感じがします。

audio-technica ATH-AD7
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも音が鮮明になりますが、音像がかなり接近します。
そのため、SA-17S1内蔵ヘッドホンアンプで聴いたときの音場よりも狭く感じます。
電流出力にするとわずかに情報量が上がった感じがしますが、あまり変化はありません。

audio-technica ATH-PRO6
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも明らかに音が明瞭になります。
低音の切れもかなり良くなります。
まるでヘッドホンのランクが一つ上がったかのような効果がありました。
電流出力にすると少しだけ情報量が上がります。

beyerdynamic DT231
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも音の情報量が増えます。
音像は少し大きくなりますが、このヘッドホンの音場はそれほど広くはないのであまり気になりません。
電流出力で聴くと少しだけ情報量が増えます。
電流出力使用時でもバランスは特に変化しないため電流出力との相性も良いようです。

Etymotic Research ER-4S
電圧出力で情報量の向上が見られました。
電流出力で聴くとさらに情報量が増え「音の顕微鏡」と言ってもいいような感じになります。
電流出力にすると低音がかなり強く感じられます。
ER-4Sは元々音場が狭くて解像度が抜群ですが、それに加えてHDA-5210Kの音の拡大鏡のような効果が加わって「音の顕微鏡」のような音を生み出 すのかと思われます。
ER-4Sとの相性は非常に良いと思いました。

SONY MDR-CD3000
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりもウォームな音にも関わらず情報量は明らかに向上。
電流出力で聴くと情報量が少し増えますが、音像もその分拡大されます。
音像の拡大によって音の迫力が増したような感じになります。
電圧出力、電流出力共にSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりもボーカルや楽器の音像が拡大するため音場はやや狭く感じます。
しかし、HDA-5210Kの利点の方がSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプを上回っているかと思われます。

SONY MDR-CD900ST
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも情報量が増えて低音も強く出るようになります。
MDR-CD900STは元々音場が狭いので、音像の拡大はあまり感じませんでした。
電流出力で聴くとバランスも少し変わり、中音が強調されたような感じがしました。

SONY MDR-Z900
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも格段に情報量が増します。
HDA-5210Kと比べるとSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプでもヴェールが一枚かかったように感じます。
電流出力は電圧出力とそれほど音質に変わりはありません。

SENNHEISER HD414(復刻版)
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも少し情報量が増えます。
電流出力を使っても電圧出力と比較してそれほど音質は変わりません。
HD414は高スペックではありませんので、SA-17S1内蔵ヘッドホンアンプより高価なアンプを使ってもあまり効果がないようです。

SENNHEISER HD580
電圧出力はSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも情報量が多くて滑らかな音です。
ただし、音像が大きく感じるので楽器の定位があいまいになってしまいます。
そのため、SA-17S1内蔵ヘッドホンアンプ+HD580のような目の前に楽器が並んでいるような定位感は低下します。
電流出力で聴くとさらに情報量が増えますが、中音〜中低音が強調されたようなバランスの悪い音になってしまいます。
HD580はインピーダンス特性が平坦ではないため電流出力には向いていないようです。


総評

HDA-5210Kの音質は非常に高く、ほとんどの場面でSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプの音質を上回りました。

電圧出力の場合は、SA-17S1内蔵ヘッドホンアンプよりも確実に音質が向上すると言っても過言ではないでしょう。
高音よりで線の細い音のSA-17S1内蔵ヘッドホンアンプの音に対してHDA-5210Kの音は暖かく柔らかい音です。
そのため、オーディオ経験の少ない人が聴くとHDA-5210Kの方が低解像度と誤解するかもしれませんが、情報量は明らかにHDA-5210Kの方が上 です。
ただし、HDA-5210Kを使うと音像が拡大したり音像が接近するため、音場の広いヘッドホンでは音場感が低下することもあるようです。
実際にHD580では音場が狭くなり、定位感があいまいになる現象がありました。
これはHDA-5210Kの精度が高いためマイクの距離情報がそのまま反映されてしまっているものと思われます。
スピーカーの場合はこれでいいのですが、発音体が耳の近くにあるヘッドホンの場合は音場感に対して逆効果になることもあるようです。
この件に関しては音が良くなるための代償とするべきでしょう。

電流出力はヘッドホンとの相性を選びます。
HD580には電流出力は合いませんでした。
HD580のインピーダンス特性はかなり起伏が激しいことが分かっています。
そのため、音声バランスが崩れてしまうようです。
しかし、それ以外のヘッドホンに対しては情報量が増えることが多いようです。

このようにHDA-5210Kの音質は素晴らしいものですが、以上はCDプレーヤーがSA-17S1のときの話です。
さらに高音質なCDプレーヤーを使用したときさらに音質が向上する可能性はあります。

今後、筆者はHDA-5210Kを使って行くつもりです。
SA-17S1内蔵ヘッドホンアンプの音も良いのですが、HDA-5210Kの音を一度聴くともうSA-17S1には戻れなくなります。

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