2ちゃんねるで嵐を呼んだヘッドフォンAKG K271studio
初掲載2003年9月7日
2003年9月20日 このページの後半に比較試聴の記事(←ここ)を追加しました。

K271studioは、AKG社(オーストリア共和国)が今年発売したモニター用ヘッドホンです。
筆者がインターネットで調査した限りでは、海外や国内でも正規品が実売価格2万円〜2万5000円程度で売られているようです。
2ちゃんねるでもAV板の「ナイスなヘッドホンpart30」で2003年4月25日に個人輸入された方(2ちゃんねるで有名な方です)のレビューが載りましたが、たいして話題にはなりませんでした。
このような状況下において、小売店サウンドハウスがK271studioの並行輸入品を14500円で発売することによって、2ちゃんねらーの間でも徐々に普及したようです。
このように新型ヘッドホンにしては静かな立ち上がりをしたようです。

しかし、「1万円前後のヘッドホンPART6」のこの書き込みが全てを変えました。
189 名前:名無しさん┃】【┃Dolby:03/07/26 15:54 ID:u02SFDB0
とはいっても、あと4000円出せば遥かに音のいいK271が買える訳だ

でもって、もう何千円って足せば足すほど上がいる訳だ
つまりはAD7なんて安物誉められた物じゃないって事だなw
※オーディオテクニカの名ヘッドホン。2ちゃんねるでは「1万円程度の開放型ヘッドホンを買うならこれ以外に選択肢はない」と言われている。

この書き込みで喧嘩祭りが勃発。
AD7擁護派とK271信者の間で長い口論が続きました。

8月15日にはサウンドハウスがK271studioを12000円という破格値に値下げしたという報告が2ちゃんねるで行われました。
さらに求めやすくなると同時に喧嘩祭りもヒートアップ・・・

592 名前:名無しさん┃】【┃Dolby:03/08/19 10:59 ID:1winYA9w

■ ■ ■ ■ ■ A K G 信 者 = 糞 耳 の 持 ち 主 ■ ■ ■ ■ ■

              ってことで終わり。

593 名前:名無しさん┃】【┃Dolby:03/08/19 10:59 ID:K4qzYkIa
K271信者の振る舞いや(以前にあった)荒らし行為は迷惑なんだよな。
俺の耳がおかしいって、信者のバイアス掛かっている耳の方が狂っているんだろ?
K271でここまで熱くなれるお前らは幸せ者だよ。
そっとしておいてやるからこれからは専用スレでやってくれ。な。

594 名前:名無しさん┃】【┃Dolby:03/08/19 13:30 ID:9jtN2ivt
信者と叩きを繰り返しているアンチが痛いと思う。
とりあえずアンチ運動は専用スレでも立ててやったほうがいい。
1万円前後でK271よりもコストパフォーマンスに優れたものをあげれば
いいだけなのにね。
でもそれができないのは、見当たらないのか、叩かれるのが怖いだけのチキン野郎だからだ。


次のスレッド「1万円前後のヘッドホンPART7 」に行っても喧嘩はやまず・・・

18 :名無しさん┃】【┃Dolby :03/08/31 10:25 ID:+1+gVrgH
keLAILJpを始めとするアンチK271死ね
keLAILJpを始めとするアンチK271死ね
keLAILJpを始めとするアンチK271死ね
keLAILJpを始めとするアンチK271死ね
keLAILJpを始めとするアンチK271死ね
keLAILJpを始めとするアンチK271死ね
keLAILJpを始めとするアンチK271死ね
keLAILJpを始めとするアンチK271死ね
keLAILJpを始めとするアンチK271死ね

19 :名無しさん┃】【┃Dolby :03/08/31 10:27 ID:UPFP6byx
オーテクのリンクが無い?

20 :名無しさん┃】【┃Dolby :03/08/31 10:31 ID:84RX44KC
271マンセー荒らしがうざいんですけど

21 :名無しさん┃】【┃Dolby :03/08/31 10:40 ID:pU3DaBxA
つーか、スレ立てたの271信者かよ。
テンプレ勝手に変えやがって。マジ基地害だな。

9月7日現在では喧嘩祭りは沈静化している模様ですが、この一ヶ月にも渡る馬鹿馬鹿しい攻防によって、K271studioの存在は2ちゃんねるのAV板にすっかり定着したようです。
筆者もこの攻防を見て、「K271studio( ゜д゜)ホスィ…」


という訳でサウンドハウスから購入。


焼そば〜


新聞紙でスペースを埋めただけの梱包。


K271studioの箱です。
おしゃれです。


この綺麗なパッケージは、海外製品らしくないものです。
AKGを初めて買ったからちと驚きました。


商品が取り出しやすく入っているパッケージ。


K271studioです。
なかなか渋いデザインですな。


コードが簡単に外せるようになっています。
丸いボタンを押しながら抜くだけ。

コードの接続部分は金メッキされています。
それにしても新品なのにホコリのようなものがたくさん付着しています。
工場での扱いが良くないのであろうか・・・
(注意)
この記事を公開した当時、2ちゃんねるの一部の人(おそらくK271S信者)が「床のホコリが付いているだけ」とヒステリーのように騒いでいたが、かなり程度の低い反応と言わざるを得ない。ホコリは箱から取り出した時点で付着していたものであって筆者は新品開封時に気がついている。この写真を撮影したときに気がついた訳ではない。
どちらにしろ、床が汚れていたところでホコリがこのように付着するはずがない。意図的に付着させないと無理なレベルだ。

ああいう書き込みをする人は、この記事の写真撮影と私の感想が同時進行しているとでも思っているのだろうか。
当然、感想を先に考えて撮影をするのである。そうしないと撮影計画が立たない。
おそらく、マスコミが都合良く編集したニュースビデオやドキュメンタリーをそのまま信じる程度の人達だろう。


プラグは2wayです。ねじ込む時に押しながら回す必要があります。
ネジが外れ難いようにしているのでしょう。


ヘッドバンドには、AKGの大きな文字。


ヘッドバンドの調節機構はゴムひもが伸縮するだけの単純なもの。
耐久性は問題ないのであろうか?


右ユニットのAKGエンブレム。
写真ではほとんど見えませんが、55ohmsと書かれています。
インピーダンスを書いてくれるのは便利。


パッドは大きくて耳を覆うタイプですが、締め付ける力は弱いのであまり密閉された感じはしません。


K271studioには自動ミュート機能があります。
装着していないときは、音がミュート(遮音)されます。
この仕掛けは左ユニットのミュートスイッチにあって、頭に着けないときは左の写真のようにミュートスイッチが押されますが、
頭に付けるとこのスイッチが解除されます。



K271studioと他機種との音の聴き比べは、一〜二週間後にこのページで行う予定です。
申し訳ございませんが、忙しくて聴き比べをする時間が十分に取れません。
今月中にはやりたいのですが・・・
その代わり手抜きでこんな記事(MDR-CD900ST買いますた)を作ったのでよろしければ御覧下さい(2003年9月15日)。


K271studio を他機種と比較試聴する(2003年9月20日)

ようやく比較試聴ができました。
この間にサウンドハウスのK271studioも14500円に値上がってしまったようですね(2003年9月20日現在)。
今回、比較試聴に使用した機種は、以下の3つです。
HD580は価格帯が違い過ぎる(実勢価格25000円〜約3万5000円)ので比較には入れませんでした。
K271studioとMDR-CD900STはそれぞれ約30時間程度のエージングを行っています。


これが試聴に使用した機材です。
ヘッドホンは上左から、ATH-AD7,MDR-CD900ST,K271studioです。
左下のヘッドホンはHD580です。基準用に使用しました。
CDプレーヤーはSA-17S1、中央上にあるHD51は使わずにSA-17S1の内蔵ヘッドホンアンプを使用しています。

試聴の方法は、以下のようにしました。
  1. 試聴する音楽を決める
  2. その音楽をHD580で聴いて基準とする。
  3. K271studio,MDR-CD900ST,ATH-AD7の順に聴く。
  4. 写真下のノートPCでレポートを書く
試聴に使った音楽は全6曲です。
曲毎にヘッドホンの評価をし、最後にまとめます。
音質評価に関してはド素人なので感想文程度に思って下さい・・・(ドキドキ・・・)

Beethoven Symphony No.9 <Choral>
TRACK1(16分)
指揮:小澤征爾
発売元:ビクターエンターテインメント株式会社

K271studio
コントラストの強い音で各楽器が背景から浮かび上がって魅力的に聴こえる。
音場は特に広くは無いが大規模クラシックを楽しむには十分である。
モニター用だけあってか生録音に入った雑音(観客の立てる物音等)が目立つ。

MDR-CD900ST
量感豊かな迫力のある音。それでいて解像度の高い音が魅力的。
音場は比較三機種の中では狭いが、迫力のある音と相まって
まるでコンサートホールの最前列で演奏を聴いているかのよう。
K271studio以上に生録音に入った雑音を見つけやすい。

ATH-AD7
比較的広い音場にややドンシャリ傾向の明るい音が味付けされて華やかな印象。
この機種の特長とも言える音の広がり具合がマッチして比較3機種の中で最も音に包まれた感じがする。
バランスの良い機種ではあるが、比較三機種に比べると味付けの要素が多いとも言える。
大規模コンサートのため解像度にやや物足りなさを感じた。

Simba
TRACK1「ニューシネマパラダイス」(5分1秒)
演奏:高島ちさ子
発売元:日本コロムビア株式会社

K271studio
コントラストの強い音とやや狭い目の音場が小編成クラシックであるこの曲に絶妙にマッチしている。
背景とヴァイオリンの音の分離が明確で、主役のヴァイオリンが引き立っている。
ただし、ヴァイオリンの音は思ったほど鮮明に聴こえなかった。

MDR-CD900ST
K271と異なり背景音とヴァイオリンの音が渾然一体となって演奏しているかのよう。
しかし、それらの音はしっかりと分離しており、解像度の高さも相まってヴァイオリンの音の輪郭は非常に鮮明。

ATH-AD7
広い音場と明るくやさしい背景音に包まれて気持ちよく聴くことができる。
開放型のためヴァイオリンの音の抜けも心地よい。
その反面、ヴァイオリンの音が脚色された音のように感じた。

A NEW DAY HAS COME(SuperAudioCD版) 
TRACK1 "I'M ALIVE"(3分30秒)
歌:CELINE DION
発売元:Epic Records Int'l

K271studio
ヴォーカルが歪んだように聴こえる。
セリーヌのやさしい歌声もこの機種のくせであるタイトな音には合わないようだ。
洋楽POPの凝った背景音もこの機種のコントラストの強いくせで控えめになり、いまいち魅力的に聴こえない。

MDR-CD900ST
セリーヌのやさしい歌声の魅力を壊さずに鮮明に聴くことができる。
背景音の量感も抜群で低音も鮮明。

ATH-AD7
広い音場と抜けの良い音がこの曲に良く合っている。
やや味付けがあるように感じるもののセリーヌの歌声も明るく魅力的に聴こえる。
広がりの良い背景音に包まれて幸福感のある再生音である。

月天心
TRACK2「もらい泣き」(4分40秒)
歌:一青窈
発売元:コロンビアミュージックエンタテインメント株式会社

K271studio
この曲は元々一青窈のヴォーカルと背景音がともにコントラストの強い性格を持っているので、
POPに弱いと言われるこの機種でも思ったほど違和感なく聴くことができた。
それでもヴォーカルがわずかに変形しているように感じたが、私的には許容範囲。

MDR-CD900ST
背景音の量感が強すぎるせいかヴォーカルがやや埋もれがち。
聴きようによっては、ヴォーカルと背景のバランスが良いとも言える。

ATH-AD7
2ちゃんねるで言われているようにこの機種は「さ行」の声がわずかにかすれるが、
広い音場から来る背景音に包まれてうまく乗せられてしまうところがある。
これは開放型の特徴でHD580にも同様のことが言える。
開放型は音楽の鑑賞に有利であることをこの曲で再度認識できた。

the soft tones of ACID JAZZ
TRACK4:"Everythings is going to the beat"(5分17秒)
演奏:ACE OF CLUBS
発売元:SCOTTI BROS. RECORDS

K271studio
やはりこの機種はジャズに向いている。
暗い背景に浮かんだ楽器の音は個々の分離が明確。
おとなしい低音は楽器の音を妨害せずに鳴らしてくれる。

MDR-CD900ST
全ての音の主張が強くてやや散漫に感じた。
K271studioで魅力的に聴こえたハイハット等の高音系の楽器の音が埋没してしまっている。
低音の量感と切れはさすがであるが、この曲には低音が少ないほうが似合っている。

ATH-AD7
高音の鳴り方が物足りない。高音系の楽器の音が鳴りきっていない。
全体的に平板に聴こえる。
それでも広い音場のおかげでそれなりに聴けてしまえるのは開放型の利点か。

日本の秘境
TRACK3 小笠原諸島「宮の浜〜波〜」(8分)
発売元:株式会社デラ

少々解説が必要と思われる。
このCDは音楽ソフトではない。
自然の音をバイノーラル録音したものが9トラック分収録されている。
録音された音は非常に綺麗である。
バイノーラル録音のためヘッドホン本来の音場と定位を発揮できるCDである。
今回使用した音は、小笠原諸島父島の砂浜で録音されたものとのことである。

K271studio
いまいち定位が結びにくい。
波の中に立っているように感じることが多い。
波の泡がシューという音を立てて消えていく音がいまいち不鮮明。

MDR-CD900ST
モニター向けなのかバイノーラル録音の再生は得意なようだ。
姿勢を低くした目の前で波が動いているような定位。
波の泡の一粒一粒が音を立てて消えていく様子が鮮明に描写される。

ATH-AD7
波打ち際に立って下を向いて波を見ているような感覚。
定位は比較的安定しているものの録音者の意図とはかなり異なる定位だろう。
解像度不足のため波の音はあまり鮮明には聴こえない。

比較試聴総評

今回使用した三機種の中で最も高音質なものと言えば、MDR-CD900STに間違いないでしょう。
K271studioやATH-AD7では、基準として使用したHD580の足下にも及ばないのが実状ですが、
MDR-CD900STならば音質だけを考えればHD580といい勝負ができます(定位、音場、装着感を考慮するとさすがにHD580には及ばない)
音の解像度を2ちゃんねる式不等号で表せば、
MDR-CD900ST >> K271studio > ATH-AD7(
となります。
MDR-CD900STは一万円台のヘッドホンとしては突出した音の良さだと思います。
しかしながら、装着感に難があるので鑑賞用には向かないと思われます。
私の場合、30分も使えば耳が痛くなってきます。

鑑賞に最も適しているのは、ATH-AD7でしょう。
特にソースを選ばない万能性、広い音場そして装着感の良さなど無難な選択と言えます。
ただし、音が明るい方向に脚色される傾向にあり、それが気に触る人もいるかもしれません。
また、解像度も物足りなく思うことがありました。
2003年10月31日にATH-AD7の後継機ATH-AD700が発売される予定のため、購入を検討されている方は少し待った方がいいかもしれません。

K271studioは相性の良いソースを非常に選ぶくせの強いヘッドホンです。
クラッシックとジャズには文句なく合いますが、ポップにはかなり辛いようです・・・
しかしながら、装着感は今回の三機種の中で最も良く、クラッシックとジャズ専用の鑑賞用としては優れています。
密閉型のくせに低音は弱いですが、中高音を低音に妨害されずに鑑賞できるのも利点です。

MDR-CD900STとK271studioのエージングをさらに約20時間追加(合計約50時間)したところお互いの解像度の差はある程度縮まりました。
MDR-CD900ST > K271studio程度でもいいかもしれません(2003年9月23日)

K271studioは買いか?

K271studioの実勢価格は14500円から約2万円です(2003年9月20日現在)。
筆者が購入したときの価格である12000円なら間違いなく買いです。
14500円でもK271studioのくせを理解していれば買いでしょう。
しかしながら、2万円の価値はないと思います。
2万円も出せるなら同じAKGのK501、ソニーのMDR-CD2000、オーディオテクニカのATH-A900を選んだ方が良いでしょう。

このように書くとK271studioは凡作のように思えますが、クラッシックを楽しむための密閉型ヘッドホンとしてはかなり安いと思われます。
密閉型でクラッシック向けとなると、2万円以上のものばかりです。
この価格帯でクラッシック向け密閉型が買えるようになったことを素直に喜びましょう。

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