BOSE MediaMateIIとその周波数特性
2003年12月6日初掲載

BOSE社のMediaMateIIは2ちゃんねるでも有名なPC用アクティブスピーカーです。

一聴すると、下品とも言える強調された低音に驚きます。
しかし、しばらく聴いていると意外と綺麗に伸びる高音と厚みのある中音にも気がつくでしょう。
聴き慣れると、この音もある意味いいのかもしれないと思いました。
今回は、以前に紹介したRP-SPC300 とEAB-MPC301の周波数特性の測定もして、音質の検証もしてみました。

BOSE MediaMateIIの紹介


箱はコンパクトです。


右側のスピーカーの前面と背面です。
前面の低音を増幅する穴が印象的です。
入力が2系統あり、前面の上から2つ目のダイヤルでその2つの音をミックスすることができます。
もちろん、ミックスせずにどちらかの音だけを聴くこともできます。
電源スイッチはありません。常時ONです。


写真下の定規は20cmの定規です。
奥行きはかなり長いです。
斜めに傾いているのは、音が机の上で反射しないようにするためだそうです。
スピーカーは大きさにしては重く、キャビネットもしっかりとしています。


このように設置しています。
やはりコンパクトなのでPCで使うのに便利です。

周波数特性を他機種と比較する

MediaMateII、RP-SPC300そしてEAB-MPC301の周波数特性を測定しました。
測定に使用した機材は以下の通り

CDプレーヤー:Marantz SA-17S1
マイクアンプ:BEHRINGER UB802 (本当はミキサー)
コンデンサーマイク:BEHRINGER ECM8000
測定PC:SONY VAIO PCG-FX11V
測定ソフトウェア:WaveSpectra
再生CD:日本オーディオ協会 AUDIO TEST CD-1


今までのf特性の測定と違って、自作のテストCDではなく、市販のテストディスクを使用しました。
測定の精度は格段に向上していると思われます。
ただし、この測定結果は参考程度にして下さい。
その理由は、周波数解析を行うPCのマイクアンプの性能の低さと測定環境のノイズの多さです。

周波数特性
赤線が周波数特性、緑線がノイズ

MediaMateIIの特性は聴いた通りでした。
低音はおよそ60Hz〜130Hzの間が強調されており、3KHz以上の高音の音圧はやや下がるものの意外と高音もしっかりと出ています。
200Hz〜2KHzまでの中低音はフラットで、中音が凹んでいないのはこれが原因でしょうか。

RP-SPC300は100Hzまでの低音は十分出せますが、MediaMateIIほどの低音は出ません。
1KHzにやや特徴的な凹凸がありますが、ほぼフラットな特性です。

EAB-MPC301も似たような特性ですが、低音は200Hzまでしか満足に出ません。
何故か前回の測定よりも高音の特性に凹みが目立つようになりました。

100Hz 信号(低音)の再生

さすがにMediaMateIIの低音はしっかりと出ています。
明らかに余計な倍音(100Hzの基本波に対して200Hz,300Hz,400Hz,・・・)が出ていますが、
この中では最も低音の再現性が高いと思います。

RP-SPC300は何とか100Hzの音を出してはいますが、倍音の音圧も高く綺麗な低音とは言い難いです。
EAB-MPC301に至っては倍音の方が音圧が高く、もはや再生とは言えない状態です。
RP-SPC300とEAB-MPC301はツイーターでフルレンジ再生をしているようなものですので、低音はやはり苦手なようです。

1KHz 信号(中音)の再生

MediaMateIIの1KHzの再生はなかなか綺麗です。
1KHzの倍音は出ているものの(私の貧弱な測定環境では)歪み(1KHzの基本波の左右に付属する余計な波)はあまり見えません。

RP-SPC300とEAB-MPC301の再生結果はほぼ同じでした。
歪みが激しく、倍音にも歪みが目立ちます。

10KHz (高音)の再生

MediaMateIIの高音の再生も意外と綺麗です。
倍音(20KHz)もよく見ればありますが、気にならないレベルでしょう。

RP-SPC300の高音も綺麗ですが、20KHzの倍音が明らかに目立ちます。
バスレフが共振するためか低音域に余計な音が出ています。
キャビネットの作りの弱さも関係しているかもしれません。

EAB-MPC301も似たような結果ですが、バスレフがないため低音域の余計な音はRP-SPC300よりも少ないです。

60Hz 信号と7KHz信号の同時再生

低音と高音の同時再生能力が分かります。

MediaMateIIはなんとか60Hzの低音も再生しています。
ただし、倍音も大量に発生しています。
7KHzの再生も歪みは見られるもののそこそこ綺麗に出ています。

RP-SPC300とEAB-MPC301は60Hzの再生がうまくできずに低音域が全体的に乱れています。
得意な高音の再生も60Hz信号の影響のせいかやや乱れがちです。

14KHz 信号と15KHz信号の同時再生

高域の分解能を表すテストと言えるかもしれません。

MediaMateは14KHzと15KHzの信号は分離しているものの歪みが出ています。
1KHzにうなり波形(15KHz-14KHz=1KHz)が出ていますが、小さいため音質への影響はそれほどないと思われます。

RP-SPC300はMediaMateIIよりも歪みが酷く、1KHzのうなり波形は音質に明らかに影響を及ぼすレベルです。

EAB-MPC301の特性は特筆するべき結果です。
やはり名機なのでしょうか。
14KHzと15KHzの分離は多少の歪みがあるものの明確です。
これ以外の余計な波形も比較機種の中で最も少なく、高域の分解能は聴いた通りに最高と思われます。


周波数特性の測定結果の感想

MediaMateIIはやはりこの中では最も高価格(実売価格約13000円)なためかキャビネットの作りが比較的しっかりとしています。
そのためか余計な歪みや余計な倍音は比較的少なくて綺麗な高音が楽しめる一因かもしれません。
(ここでいう倍音は楽器が出す必要な倍音ではなくて、音源にないはずの余計な倍音である)
しかしながら、音のバランスは低音過多の非常に特徴的なものです。
これらの測定からは見えないのですが、音の指向性が低いので音像定位は思ったほど鮮明ではありません。

RP-SPC300(実売価格5000円程度)とEAB-MPC301(在庫がなくなる前の実売価格約4000円)は価格が安いため、
キャビネットの作りがチープで余計な歪みや倍音を生成してしまうことが多いようです。
シャカシャカとした音はキャビネットの作りの粗末さが関係しているのでしょう。
特にRP-SPC300はバスレフという低音の共振器を持っているせいか副作用で余計な音を強めてしまうようです。
ただし、音の指向性の強さのおかげか音像定位はMediaMateIIよりも鮮明です。
音のバランスもほぼフラットです。

EAB-MPC301はRP-SPC300よりも全体的な特性はかなり良いのですが、低音は完全に切り捨てた音です。
特筆すべきは高音の歪みで価格が3倍以上のMediaMateIIですら、足下にも及びません。
実際に聴いても高音の解像度は比較機種の中で最高です。
MediaMateIIの対局にある音でしょう。
やはりMPC301は名機でした。

結論としては、音質だけで考えるとMediaMateIIは割高な気がします。
低音を何故これほどまでに重視するのかは不明ですが、小型で低音がしっかりと出るものが欲しければこれしかないと思います。
というかそれを狙っているのでしょうね。
他の同サイズの小型スピーカーでは決して得られない音です。
そういう意味では小型で低音が出るものを望むのであれば、価格分の価値はあると思われます。
筆者もMediaMateIIの音は個性的だけど一度聴くとはまってしまう音だと思っています。

(2003年12月11日追記)
私的には「個性的だけど一度聴くとはまってしまう音」ですが、客観的にはかなり常軌を逸脱した音ですので、
購入を検討される方(低音厨以外の方)は試聴をしないと後悔するかもしれません。
少なくともこの音はHi-Fiではありません。

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