SAITAMA-HA7回路図

2004年1月初掲載
ここに掲示する回路図は何の保証もありません。
自作の参考にされる方は自己責任でお願いいたします。
特に回路図の読めない方がSAITAMA-HA7のような家庭用電源100Vを使用する回路を組むのは絶対に止めて下さい。
(ACアダプタも家庭用電源100Vと同様です)
最悪、火災のおそれがあります。

(2005年4月24日追記)
SAITAMA-HA7は±9V電源で動作することを前提にしています。
それ以外の電圧での動作は保証していません。
電圧を上げるときはコレクタ損失、出力電流、耐圧などの計算をしてそれに見合った仕様のトランジスタを使う必要があります。
2ちゃんねるを見て驚いたのですが、2ちゃんねらーの製作したHA7はコレクタ損失の計算をせずに電圧を上げているものが大半のようです。
2ちゃんねらーの中には、私にコレクタ損失の計算をしているのかと聞かれて
「十分な音量が得られてる気がするのでコレクタ損失は大丈夫だと思います」
という大ボケをかます人までいました(彼はコレクタ損失の意味が全く分かっていない)。
お願いですから組み立てしか出来ない人は回路定数を変えないで下さい。
最悪、トランジスタから煙が出ることになります。
もちろん、火傷しようが火事になろうが自己責任でお願いいたします。


回路図一覧
  1. アンプ・バッファ回路
  2. 電源回路
  3. 遅延ミュート回路(問題あり)
  4. 遅延ミュート回路(改良版)
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アンプ・バッファ回路

オペアンプ+ダイヤモンドバッファ回路という典型的な構成です。
この回路図ではオペアンプとしてOPA2604を使っていますが、二回路入りのオペアンプで+-9Vの電圧をかけられるものならば、
何でもいいと思われます。
試作時には安くて(一個200円以下)そこそこ音が良いNE5532を使いました。
試作時に壊してしまっても問題にはなりません。
オペアンプは交換可能なので、NE5532で動作を確認した後でもっと音の良いものに変えることができます。
実際にはこの回路を二つ作る必要がありますが、オペアンプは二回路入りのものが一つだけです。

この回路を左側の入力から見て行きましょう。
VRは10K ohmのA特性可変抵抗です。
最初は千石電商で購入した一個100円程度のものを使っていましたが、ギャングエラーが酷いので若松通商で購入したRV30YG(10KA)に変えまし た。
RV30YG(10KA)は一個2200円もしますが、ギャングエラーと音質の改善に効果的でした。

入力はダイオードD1とD2で過電圧保護されています。
ただし、ボリュームが最大のときは入力電流が制限されないため保護になりません。
この部分は不完全です。
D1とD2は付けなくても動作します。

オペアンプは反転増幅回路を形成しています。
入力抵抗R1と帰還抵抗R3の比は4.3倍です。
オペアンプの直流電源はOS-CON5/6でノイズが取り除かれます。
通常の電解コンデンサは容量の大きいものを使うと高周波特性が悪化しますが、OS-CONの高周波特性はフィルムコンデンサ並みなのでそのような心配はあ りません。
CMRR(Common Mode Rejection Ratio)に有利なため反転回路を使用しましたが、今にして思えば入力インピーダンスを高くできる非反転の方が良いと思います。
(2011年10月10日 他のページからの受け売りで書いたが、2ちゃんねるで間違えていると指摘されたので、消しておきます。)

Q1〜Q6で構成されるバッファ回路は典型的なダイヤモンドバッファ回路です。
オペアンプは電流を10mA〜20mA程度しか流せないものが多い(※1)ため、この回路で電流を増幅します。
Q1とQ2はトランジスタのスイッチングON電圧0.6〜0.7Vをキャンセルするものです。
Q1とQ2の作用でオペアンプの出力が0.6〜0.7V以下でもQ3とQ4が動作できます。
実際に電流を増幅しているのはQ3とQ4です。
Q3とQ4には電流制限回路(Q5,Q6,R6,R7)が装備されており、R6(R7)の電圧降下が0.6〜0.7V以上になると、Q5(Q6)がONし てQ3(Q4)のベース電流を奪います。
つまり、0.6/R6が制限される電流値になります。
この回路の場合、0.6/5.6 = 107mAが制限電流になります。
0.6が0.7だとしても0.7/5.6 = 125mAが制限電流になりますので、2SC1815の最大定格であるコレクタ電流150mAを越えることはありません。
この回路の電流制限回路によって、5.6ohmという低い値の抵抗を付けるだけで電流を制限できます。

最終段のQ3とQ4はエミッタフォロワですので、出力インピーダンスはほぼ5.6ohmとなります。
(2011年10月10日 2ちゃんねるで間違えていると指摘されたので、消しておきますが、正解は何なのか調べはしません。)
当然、ダンピングファクター(※2)も向上します。

(※1)ベリンガーの製品でよく使われているNJM4580は最大で50mAの電流を流せます。
(※2)負荷のインピーダンス÷出力インピーダンス。値が大きいほど音質的に有利と言われている。

(注意)
掲示板で指摘されたので書いておきます。
出力端子を短絡すると、コレクタ損失が2SC1815/1015の定格400mWを越えます。
短絡したときのコレクタ損失は、( 9V - 0.6V ) ×  107mA  =  899mWとなります。
ですから、短絡時の動作は保証できません。

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電源回路

典型的な全波整流電源回路です。
出力は+-9V。最大電流300mAです。
AC100V(つまり100Vrms)をトランスT1で降圧して、交流12Vrmsにしたものをブリッジダイオード1G4B42で整流します。
C1とC2で平滑された電源はレギュレーターNJM7809とNJM7909で安定化されます。
レギュレーターの発振を抑えるために耐圧25VのOS-CON1〜4が装備されています。
※2ちゃんねるで指摘されたのですが、OS-CON3と4は普通のコンデン サの方がいいそうです。
 低ESRのOS-CONをレギュレーターの出力に接続すると不安定になる 可能性があるそうです。

電源回路のC1とC2の定数は以下のように計算しています。
  1. トランスの出力は12Vrmsなので、整流後の最大振幅は12×√2≒16.97[V]
  2. C1とC2の放電速度は、300[mA]/2200[uF]≒136.4[V/sec]
  3. このときリップルは136.4÷(1/(2×50))=1.364[V]
  4. つまり、C1とC2の出力電圧は最低で16.97-1.364≒15.61[V]まで下がる
  5. レギュレーターは最低でも出力電圧+3Vを入力に入れる必要があるので、条件を満たしている
+-9Vを得るにはやや電圧が高いように思われるでしょうけど、電圧が高いほどレギュレーターの出力は安定します。
ただし、レギュレーターの発熱対策をしっかりとしていることが前提になります。

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遅延ミュート回路(問題有り)

電源ON時のポップノイズを解決するための回路です。
C12が充電されると、Q1のベース電圧が4.2V(実測値)となり、リレーに電流(100mA)が供給される仕組みです。
時定数は(R13//R15)×C12=0.484[sec]となります。
しかし、電源OFF時のポップノイズを完全に防ぐことができません。
C12の放電に時間がかかるからです。
※R13とR15は並列の合成抵抗である。4.84Kohmの抵抗に相当する。

以前、D0を仮に実装したことがあるのですが、電源OFF時のポップノイズ はかなり少なくなりました。
レギュレーターの電圧が下がったときD0で放電できるからで す。
しかしながら、D0のおかげでアンプが発振するようになりま した。
具体的にどの部分が発振しているのかは不明ですが、レギュレーターの負荷にダイオードD0が付いたため
レギュレーターが発振したのかもしれません。
最終的にD0は未実装としました。

電源OFF時のポップノイズは「ブツ」という不快な音がしますので、できれば直したかったです。
あまりお勧めできる回路ではありませんね。
※オペアンプの種類によっては電源OFF時のポップノイズは少なかったりします。OPA2604は電源OFF時のポップノイズが多いようです。


これはオシロスコープで遅延ミュート回路の動作を見たものです。
左写真は電源ON時にポップノイズを完全に防ぐことができる様子を示したものです。
右写真は電源OFF時の様子です。ミュートOFFするのが遅くてポップノイズを除去しきれない様子が見えます(大きな音が出ます)
この回路を多少修正した程度ではこの問題は解決できません。
この回路はC12を放電する仕組みが特にないからです。

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遅延ミュート回路(改良版)

CR回路で遅延するミュート回路だと、コンデンサの放電をうまく行うのは至難 の業です。
そのため、電源OFF時のポップノイズをうまく消すことができませんでした。
そこで、改良型の遅延ミュート回路ではリセットIC ミツミ電機 PST600Cを電源電圧のレベル検出に使ってその問題を解決しました。
Vccが約8VになったときにリレーがON/OFFするように設計されています。
PST600C自体は4.5V以上の電圧を検出しますので、LEDで3.4V分レベルシフトして使用します。
つまり、PST600Cの端子1にかかる電圧は最大 9 - 3.4 = 5.6Vとなります。

PST600Cは端子1に4.5V以下の電圧をかけられているときは、端子2と3を短絡します。
端子2と3の短 絡時はR20を通して電流が流れますので、5.6V / 1K = 5.6mAの電流が流れます。

PST600Cの端子1に4.5V以上の電圧(Vccが7.9のとき)がかかると、PST600Cは端子2と3をほぼ絶縁します。
そのため、電流はR20とQ1のベースに流れることになります。
Q1はエミッタフォロワ回路であり、リレー のコイル抵抗が50ohmですので、hfe × 50が入力インピーダンスとなります。
実測でhfe=145ですので、入力インピーダンスは145 × 50 = 7250ohmとなります。
R20と入力インピーダンスが直列になりますので、ベースに流れる電流は5.6 / (1000 + 7250) = 0.679mA。
そのため、R20で1K × 0.679mA = 0.679Vの電圧降下が発生するため、ベースの電圧は最大でも5.6V - 0.679 = 4.92Vになります。
さらに、Q1のVbe(ベース・エミッタ間電圧)を0.6Vとすると、リレーのコイルにかかる電圧は4.32Vとなります。
実際に測定すると約4.0Vでした。
設計と8%程度の誤差がありますが、アナログ回路では仕方がないでしょう。
リレーは3.75VでONすることになっています。
掲示板でも指摘があったのですが、本当はLEDではなくてトランジスタと半固定抵抗でできた可変電圧源を使うべきです。
こうしないと回路の誤差が大きいときに動作させることができなくなる可能性があるからです。
今回は測定をしながら製作していますので、特にそのような必要はないのです。

R15はトランジスタのコレクタ損失を減らすためのものです。
R15がないとコレクタの電圧は9Vとなるので、
Q1 のエミッタが最大4Vとしても 9 - 4 = 5Vの電圧がトランジスタの内部にかかることになります。
Q1のエミッタが最大4Vかつコイル抵抗が 50ohmなので、コレクタ・エミッタ間には 4 / 50 = 80mAの電流が流れます。
つまり、R15がないとき
コレクタ損失は5V × 80mA = 400mWとなってしまい最大定格ぎりぎりです。
そのため、R15でQ1のコレクタにかかる 電圧を抑えることにします。
R15は43ohmで80mAの電流がQ1のコレクタに流れますから、3.44Vの電圧降下が発生します。
このとき、Q1のコレクタ電圧は 9 - 3.44 = 5.56Vとなり、
コ レクタ損失は (5.56V - 4V) × 80mA = 125mWと定格内になります。

OS-CONはパスコンとして使っています。
PST600Cが多少のノイズを出す可能性があるからです。


そもそもポップノイズとは何でしょうか?
それは9Vの電源電圧がオペアンプの必要とする電圧以下のとき、オペアンプが不安定な状態になって誤動作するからです。
つまり、電源ON/OFF時に発生します。
上の波形はそれを表しています。
電源ON時は0V→約4Vに達したところでポップノイズが発生しています。
電源OFF時は9V→約4Vに達したところ でポップノイズが発生しています。
つまり、電源がオ ペアンプの必要とする電圧になったときだけ、ミュート回路をONすれば良いのです。


今回の回路は調整不可能なこともあったので、別の基板で試作してテストを行い ました。
写真の左上がリセットIC PST600Cです。
トランジスタと同様の形状です。


改良型の遅延ミュート回路をSAITAMA-HA7に組み込んだところです。
写真の下中央から右下部分がそうです。


実際の回路の動作です。
9V電源が8V程度になったときにリレーが動作しています。
リレーがOFFしている間にポップノイズが発生しているのが分かりますでしょうか。
ただし、ON時の遅延が数msec程度しかないため、ポップノイズの出方によってはポップノイズが除去できない可能性があります。
そのときは、PST600Cのマニュアルに載っているように遅延のためのコンデンサを出力端子に入れる必要があります。

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