SAITAMA -HA7製作後記
2004年3月28日

今更ですが、最後の締めくくりを書きます。
SAITAMA-HA7の仕様を決めるにあたって、インターネット上の自作ヘッドホンアンプをいくつか調べました。
インターネットにある自作ヘッドホンアンプの多くは、オペアンプ+乾電池という簡単な構成のものが多く、
バッファ回路すら付いていないものが多いのです。

そこで、以下のような仕様を考えました。
  1. トランス内蔵方式にする
  2. ダイヤモンドバッファ回路を実装する
  3. 遅延ミュート回路を実装する
  4. 両電源仕様にする
  5. DC直結(カップリングコンデンサの排除)
トランス内蔵方式に関しては、乾電池・バッテリーよりも不利なことが多いです。
アンプの内部に「トランス」と言うハムノイズ(交流電源に由来する50Hz/60Hzのノイズ)の発生源を内蔵するのですから、
そもそも無理があるのです。
ハムノイズ以外のサーノイズやホワイトノイズに関しても乾電池の方が圧倒的に有利です。
オーディオ評論家の一部の人には何でもバッテリー駆動に改造する人もいます。
トランス内蔵方式にすると、回路も格段に複雑になります。
しかしながら、筆者は乾電池の交換の不便さを考えると、トランス内蔵方式を是非ともやりたいと考えました。

ダイヤモンドバッファ回路はオーディオでよく使われる典型的なバッファ回路です。
電流を増幅するバッファ回路がないと低インピーダンスヘッドホンでの電流不足が考えられますし、オペアンプが出力する電流が
大きく変動するので、オペアンプの特性が変動してしまいます。
バッファ回路はインピーダンス変換としても機能しますから、バッファ回路によってオペアンプは最小限の電流を流すだけで
ヘッドホンを駆動することができます。

遅延ミュート回路は電源のON/OFF時に発するポップノイズからヘッドホンを保護する回路です。
自作ヘッドホンアンプに遅延ミュート回路を付ける人は皆無に近く(筆者が調べた限りでは一人だけ半導体素子で保護回路を実装している人がいた)、市販品で も搭載されていないものがあります。
そのため、これと言って参考にするものがなくて、 SAITAMA-HA7ではCR時定数で動作する単純なものを搭載しました。
結果的には電源OFF時のポップノイズをうまく防ぐことが できなかったのが残念でした。
※この件については解決しました(2004年4月25日)

両電源仕様とDC直結はお互いに関係します。
DC直結を実現するには、両電源が必須だからです。
(片電源でも分圧回路を使えば実現できますが、両電源よりも回路が複雑になる上に特性も良くないかと思われます)
DC直結にすると、カップリングコンデンサが不要となります。
カップリングコンデンサは周波数特性と歪みについて不利になるので、ない方が良い音が出ると言われています。

SAITAMA-HA7を作り始めたのは2003年12月末でした。
組み立て自体は数日で終わったのですが、トランスを内蔵するタイプなのでハムノイズ対策がかなり大変でした。
トランスというノイズ源を本体に内蔵しているのですから当然のことですが、そのときはオシロスコープを持っていなかったので
試行錯誤だけでハムノイズ対策は行われました。
ハンダの付け外しを何回も繰り返したため、かなり無駄な時間を浪費したような気がします。
ストレージオシロスコープとオーディオアナライザはHA7が完成してから購入したものです。
少なくともオシロスコープは最初からあった方が良かったと思います。
もちろん、ノイズ対策に慣れた人であれば、測定器がなくても作れるレベルの回路でしょう。

音質は十分なものができたと思います。
前述の1〜5の要素を全て満たした自作ヘッドホンアンプは現時点では珍しい存在でしょう。

次回作を作るとすれば、以下の点を盛り込みたいと思います。
  1. 電源用トロイダルトランスの採用(トランスの発生するノイズの低減)
  2. 電源電圧の高電圧化(+-9Vから+-15Vへ上げる)
  3. 回路の基板化
これでオペアンプ式ヘッドホンアンプとしてはかなりのものができるかと思われます。
OPA627のような超高級オペアンプの使用も考えられます。
これ以上望むのであれば、ディスクリートで作成する必要があるかもしれませんが、相当な難易度になるかと思われます。

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