SAITAMA -RA1の音質評価
2004年5月4日

アンプの音質比較ということでSA-17S1を基準として、SAITAMA-RA1の音質を評価しました。
評価に使用したヘッドホンはMUSIC SERIES ONEとHD580にしました。

SAITAMA-RA1の音質をレビューするために以下の方法で試聴しました。
  1. 試聴する音楽を決める
  2. 試聴するヘッドホンを決める
  3. まずはSA-17S1で聴く
  4. 次にRA1で聴く、SA-17S1との変化に注意して聴く
  5. レポートを書く
  6. 1〜5を繰り返す。

試聴に使ったCDです。
比較的入手性の高いものと思われます。

以下、試聴レビュー

Beethoven Symphony No.9 <Choral>

TRACK4(6分34秒)
指揮:小澤征爾
発売元:ビクターエンターテインメント株式会社
ジャンル:大規模クラッシック

HD580
音像定位がボケているため、音の立体感に乏しい。
解像度も低く、高音の伸びも良くない。

MUSIC SERIES ONE
このヘッドホンは音場が左右別々に広がるタイプなのだが、
SAITAMA-RA1のボケた音像定位が左右の音像を滑らかに接続してくれる。
そのため、音場は返って自然に感じる。
解像度は低下するもののアンプの歪から来るのであろうか中域の厚みが増加。
そのため、迫力のある音が楽しめる。
もちろん原音再生という意味では良いとは言えない。

Simba

TRACK1「ニューシネマパラダイス」(5分1秒)
演奏:高島ちさ子
発売元:日本コロムビア株式会社
ジャンル:小規模クラッシック

HD580
解像度と音像定位の劣化は免れないが、思ったほどは酷くない。
この曲では、ヴァイオリン、チェロ、ピアノの三つしか楽器が使われていないため、
楽器一つ一つの音が重要である。
しかし、SAITAMA-RA1では楽器の響きの余韻をうまく再現することができない。

MUSIC SERIES ONE
楽器の音が頭一杯に広がるように感じる。
音像定位がボケているからだと思われるが、音場のそれほど広くないこのヘッドホンにとっては良い効果を生んでいるかもしれない。
元々、このヘッドホンの解像度は高くないので、解像度の低下よりも音場の狭さを誤魔化してくれるSAITAMA-RA1の効果はある意味良いと言える。
ただし、楽器の音色はややつぶれ気味。

A NEW DAY HAS COME(SuperAudioCD版) 

TRACK1 "I'M ALIVE"(3分30秒)
歌:CELINE DION
発売元:Epic Records Int'l
ジャンル:女性POPS(英語)

HD580
解像度の低下でボーカルが魅力的に聴こえない。
音像定位がボケているので、背景音楽が広がって聴こえる。
人によってはこのような聴こえ方も悪くは無いだろう。

MUSIC SERIES ONE
中低音が強調されるせいかキックが強く感じる。
ボーカルが前に出てボーカルが聴きやすくなり、背景音楽は頭の中で広がる。
この曲にはなかなか合っていると思われる。

月天 心

TRACK2「もらい泣き」(4分40秒)
歌:一青窈
発売元:コロンビアミュージックエンタテインメント株式会社
ジャンル:女性POPS(日本語)

HD580
低音が弱く感じる。
SAITAMA-RA1は中低音を強調する傾向があるが、本当の低音は弱いようである。
ボーカルの解像度は低下して物足りない。
音像定位の低下の副作用で背景音楽が広がって聴こえるのは悪くは無い。

MUSIC SERIES ONE
この曲のボーカルは高音よりなので、中高音重視のこのヘッドホンではボーカルが聴きやすい。
このヘッドホンの解像度がそれほど高くないことと相まって解像度の低下は問題にならない。
つまり、アンプによって解像度が低下してもボーカルはそれほど劣化しないように思える。
他の曲と同様に背景音楽が広がる傾向はあるが、たいして背景音楽の凝っていないボーカル中心のこの曲では、
ボーカルの鑑賞を阻害するようにも思える。

Nine Lives

TRACK1 "Nine Lives"(4分1秒)
歌・演奏:Aerosmith
発売元:SONY MUSIC
ジャンル:ROCK(英語)

HD580
解像度、音像定位、低音全てが劣化する。
シンバルの「シャーン」という音が実際よりも広がって聴こえるのも立体的な音作りのこの曲では余計な気がした。

MUSIC SERIES ONE
音像定位が低下しているためか柔らかい音色になったような気はする。
アンプの高音の出が弱いのも関係しているだろう。
耳に痛い曲なので、SAITAMA-RA1で柔らかくなった音色の方が良いとの見方も出来るかもしれない。

SONNY ROLLINS VOL.2

TRACK1 "WHY DON'T I"(5分43秒)
演奏:SONNY ROLLINS等
発売元:東芝EMI
ジャンル:ジャズ

HD580
主役のトランペットの音が明らかに劣化する。
SAITAMA-RA1を使って聴く利点は何も無い。

MUSIC SERIES ONE
中高域が強調されるためかトランペットやピアノの音が前に出る。
そのため、主役のトランペットの音が華やかになったような気がする(もちろん忠実な再生ではない)

総評

SAITAMA-RA1を使って音質が良くなることはありません。
安物のBEHRINGER HA4700よりは多少良いという程度です。
おそらく、入力側のカップリングコンデンサに高級なものを使っていることがその一因と思われます。

音質は良くなりませんので、原音再生に近いHD580のようなヘッドホンで使う場合はSAITAMA-RA1の特徴が裏目にしか出ません。
MUSIC SERIES ONEのようなある程度味付けのあるヘッドホンの場合、SAITAMA-RA1の特徴(低解像度・ボケた音像定位・実際以上に広がる音・フラットとは言え ないf特性)が人によっては良く聴こえたり悪く聴こえたりするでしょう。
つまりは、癖を楽しむということになります。

このことから、SAITAMA-RA1と同一回路のGrado RA-1の音質は良いものではないと考えられます。
もちろん、使われているコンデンサの違いはあるためSAITAMA-RA1とGrado RA-1の音は異なると思われますが、
オペアンプがNJM4556では音質のレベルに大差はないでしょう。

とは言え、SAITAMA-RA1で聴いた方が面白く感じるときもあるため、一部にGrado RA-1の愛好家が存在するのも納得できます。
ただし、最初のヘッドホンアンプとしてGrado RA-1を購入するのは止めた方がいいでしょう。

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