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SATRI -KIT基板の調整
2004年10月11日掲載

SATRI-KIT基板には調整の必要な半固定抵抗が3つあります。
入力オフセットと出力FETのバイアス電圧です。


調整の前に出力FET(パワーFET)Q17,Q18を基板に取り付けます。
パワーFETはシャーシに取り付けるために基板に直接付けずに導線を使って取り付けます。


調整をするためにボリュームが必要です。
このように仮のボリュームを取り付けます。


調整をするには安定化電源2台(一台で2電源出せるものなら一台で良い)と電圧計と電流計が必要です。
私は電圧計として、テスタとオシロスコープを使いました。
電流計としては安定化電源の電流表示を使いました。
使用した安定化電源は最大18Vで1Aまでの電流が流せるものです。
この電源2台を直列に接続して+-18Vの電圧を得ます(実際の電源は+-22V程度)。
安定化電源がない場合は、シャーシに組み込んでから調整する必要がありますが、かなり面倒になると思います。
測定の前に出力FETのバイアス電圧を最小にする必要があります。
さらに写真のように放熱板を付けるべきでしょう。


まずは入力オフセットの調整です。
基板に電源を入れて入力を短絡して、TP1の電圧を測定します。
矢印の先のVR1を動かしてTP1の電圧が0Vになれば、入力オフセットの調整は終了です。


次に出力FETのバイアス電圧を調整します。
調整は半固定抵抗VR4,VR5で行います。
SATRI-ICからは無信号時でも1.5mAのバイアス電流が流れていますので、
FETのバイアス電圧[V]=半固定抵抗値[Ω]×1.5[mA]となります。

出力FETに何故バイアス電圧をかけるのか?
それはFETの特性に関係しています。
FETは低いゲート電圧ではONしないため、SATRI-ICから出る信号が小さいときはFETが動作しません。
そのため、音が歪むことになります。
バイアス電圧をかけないと聴感上でもはっきりと分かるほど音が歪みます。
そのため、無信号時でもFETがONする電圧よりも少し低い電圧でゲートにバイアス電圧をかけます。

ここで注意するべきは二つのFET(Q17,Q18)を同時にONさせてしまうことです。
これをしてしまうと、Q17〜Q18が短絡に近い状態になり、FETが発熱してFETのジャンクション温度が150度を越えると壊れてしまいます。
私は一度これをしてしまってFETを壊してしまいました(半固定抵抗値を最小にするのを忘れていた)
FETはペアで1350円もします。

調整は以下のようにして行います。
最初は半固定抵抗VR4,VR5の値を両方ともに最小にして徐々にVR4とVR5の値を上げて行きます。
私の場合、電流計を見ながらFETに流れる電流(FETのバイアス電流)が170mA程度になったときにそれ以上上げるのを止めました(後に100mA程 度にしました)。
上げ過ぎるとFETが壊れてしまいますので注意しましょう。
(バクーンプロダクツの技術資料には200mA〜500mAが適正と書かれていますが、今回の場合はここまで多くしなくても良いと思われる)

半固定抵抗の調整が終わると、その状態でボリュームを上げて行きます。
ボリュームを上げても出力からオフセット電圧が出なければ調整は終了です。

おま け

折角なので動作させたときの放熱板の温度でも見てみましょう。

室温は22度です。
放熱板にはシリコングリスを塗っていません(当然、組み立てるときは塗ります)


無信号時の放熱板温度は56.5度でした。
安定化電源の電流表示は190mA前後ですが、入力段と増幅段で20mA程度消費するので、FETのバイアス電流は170mA程度です。


FETの消費電流が250mA程度になるように音を出してみると、放熱板温度は67.4度になりました。

まだシャーシに取り付ける前ですが、発熱がかなり大きいのでFETのバイアス電流を100mA程度に下げました。
そのとき、発熱は5度程度下がったと記憶しています。
ただし、実際の電源電圧は+-22Vと安定化電源よりも+-4V高いので、100mAよりも電流は増えるでしょう。

果たして組み立てたときに放熱板の発熱はどうなるでしょうか?
それは次回にお話しできるでしょう。

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