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SATRI-KITの紹介
2004年8月3日

バクー ンプロダクツ株式会社は熊本県に所在地を置くオーディオメーカーです。
この会社の特徴は、SATRI回路を内蔵したオーディオアンプを開発・製造・販売していることです。
SATRI回路はカレントミラー回路を応用したバクーンプロダクツ株式会社独自の増幅回路です。
SATRI回路の特徴は半導体にも関わらず無帰還アンプが構築できることです。
そのため、SATRI回路を内蔵したアンプは独特の音を出すそうです。
※厳密にはSATRI回路の内部で局部負帰還がかかっています。

バクーンプロダクツ株式会社は2004年7月にSATRI-KITの販売を開始しました。
キットと言っても基板と増幅素子SATRI-ICを提供するだけです。
(ケース、トランス、放熱器の提供もあるみたいですが、大出力パワーアンプ向けのものでしょう)
そのため、基板に付ける部品の定数設計は購入者がする必要があります。
さらに部品も自分で集める必要がありますので、かなり難易度の高いキットになります。
その代わり、色々なアンプを作ることのできる汎用性があります。

SATRI 回路の原理

SATRI回路の原理は簡単です。


上図がSATRI回路の増幅原理です。
SATRI-ICはSATRI回路の中心となる増幅素子です。
SATRI-ICは入力電流Iiと出力電流Ioを同じ電流値にします。
入力インピーダンスは10Ω以下で、出力インピーダンスは100MΩ以上です。

最初にSATRI回路の入力に加えられた電圧Vinは抵抗Rinによって、電流Iiに変換されます。
Ii = Vin / Rin・・・式(1)

出力電流IoはIiと同じ値です。
Io = Ii・・・式(2)

出力電流Ioは抵抗RLによって、Voutに変換されます。
Vout = Io × RL・・・式(3)

式(2)より式(3)は
Vout = Ii × RL
なので、Iiに式(1)を代入して
Vout = (RL/Rin) × Vin・・・式(4)

となります。
つまり、入力電圧Vinは(RL/Rin)倍されて、Voutとして出力されます。

回路の知識がある方はSATRI-ICの正体がカレントミラー回路であることに気がつくでしょう。
実際には動作を安定させるためのバイアス回路などが入っており、カレントミラー回路そのものではないのですが、
原理的にはカレントミラーと言えます。
実際にSATRI回路に関連する実用新案によると、カレントミラーによる増幅器ということになっています。
無帰還でも高い線形性を保てるのがSATRI回路の特徴だそうです。
厳密に言うとカレントミラー回路の内部で負帰還がかかっていますから「局部的負帰還アンプ」とも言えますが、
これはSATRI-ICの内部だけの帰還ですので、SATRI-ICを一つの素子と考えるとSATRI-ICを使ったアンプは無帰還アンプと考えられま す。

写真 による紹介


基板2枚とSATRI-IC2個を頼んだのですが、まさかエアキャップ(ぷちぷちのことです)入りの封筒で送られてくるとは・・・


写真の左の基板がSATRI-KITです。
右がSATRI-IC。


SATRI-KIT基板の部品面です。
大きさは150mm×101mmとかなり大きいです。
モノラル基板ですので、ステレオとして使うには2枚必要です。
穴はスルーホールです。


SATRI-KIT基板のハンダ面です。
表裏ともにベタGNDがメッシュになっています。


基板の厚さは約1.8mmです。
かなり厚い基板です。


配線の銅箔は90μmと分厚いです。
通常の基板は18μm〜40μm程度のものが多いので、SATRI-KITの銅箔はかなり分厚いと言えます。


SATRI-ICです。
モノリシックICではなくて、ハイブリッドICです。
おそらくチップ部品で構成されているのでしょう。


黒スポンジから取り出したところです。
寸法は14mm×30.5mm。

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